ジェリーマン

3.3.2020  じゆう帳



きいぃ……きいぃ……


……?


挿絵

一人で午後の留守番をしていた時のこと。
お気に入りのおもちゃで遊んでいると、
揺り椅子のきしむ音がした。



振り返ると半透明のゼリーのような化物がいた。
思わずヒュッと息を飲んだ瞬間、



その微かな大気の揺れに呼応するように、
ゼリーの化物の目がぐるぐる泳ぎ出し、
陽炎のように ゆらゆらゆらゆら 空気に溶けだし、
しまいにとうとう消えてしまった。



それ以来、
誰もいない部屋から時おり
揺り椅子の軋む音がする。
奴はこの家にまだいて、
どうやら椅子が気に入ったらしい。







© Fukui Rie